阪神・淡路大震災をきっかけにあまた誕生し、東日本大震災でも多くの団体が活躍するNPO(特定非営利活動法人)の、「評価」を論考し、検証した本。
…との紹介文を付してみた本書であるが、そのNPOが東日本大震災では「以前のような活気をみせていない」というのが、どうやら
著者の執筆動機であるようだ。
筆者は、「阪神・淡路大震災から16年。NPO法人数は4.2万団体になった。NPO法の目的と法人数を考えると、[被災]現地でボランティアを募集している団体が50というのはあまりに少ないのではないか」として、「被災地にボランティアを派遣する学生団体のメンバーは50以上のNPOに連絡をして学生ボランティアの受入れを頼んだが、殆どがボランティアを受入れていなかった」「NPOは市民との連携が弱いのではないか」という学生の証言を引いて「最も痛い指摘」と結論づけているが、被災当初の現地の混乱とその対応に奮迅するNPOやボランティアの活動を多少なりとも知るワタシには素直には腑に落ちず、首を傾けざるをえない。
それはさておき、現状のNPOに課題がないわけではなく、NPOを「市民性」「社会変革性」「組織安定性」という三つの「基本条件」から
「エクセレントNPO」の理念を考察するという姿勢は、その上から目線的なネーミングはともかく、抗うものではない。
簡単にいえば、NPO活動に「評価」基準を持ち込もうというもので、本書はその研究書(論文)ということになる。したがって、耳を傾けるべき考察や論考であることは重々認めたうえで、おそらく被災現地で奮闘するNPO/ボランティアからは、「現場も知らないでケッ!」と一瞥すらされない…という光景も浮かんでしまう。
そもそも、NPO の「評価」というのもけっして新しいアプローチではなく、
ワタシ自身も10年も前にすでにNPO業界で「評価」が話題にのぼっていたことを知っている。そうした意味では、10年経ってもこの「評価」がNPO間に浸透せず、本書のような提言がなされることこそが、NPOが抱え続ける「課題」なのかもしれない。
それにしても、ワタシもドラッガーの
『非営利組織の経営』禺画像] (1991年)に触発を受けたクチだが、はたして筆者も「あとがき」で「筆者の根底にあるのはP・F・ドラッガー先生の思想であり、氏の日本の市民社会への想いです」とあり、こちらは腑に落ちた。
[LINK] (
禺画像])
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