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【映画】世界大戦争
2011-08-31


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『世界大戦争』(1961年・監督:松林宗恵)

これまたカルトな逸品。キネ旬の『オールタイムベスト 映画遺産200 日本映画篇』で推されていたので、一体どんなものかと怖いもの(?)観たさでDVDでレンタル観賞してみたが、これがじつにエグい作品に仕上がっている。

米ソによる東西対立を模した同盟国側と連邦国の緊張が高まり、世界は核戦争一歩手前の一触即発の状態を迎えていた。その迫りくる地球の危機を地球規模でダイナミックに描く一方で、日本に暮らすごく平凡なタクシー運転手の家族の視点をも重ね併せたSF特撮ドラマ。

なんといっても円谷英二による特撮がエグい。ミニチュアを駆使し、北極から朝鮮半島、洋上の船、ロケットまで精巧に描き、さらには東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワの町並みが核ミサイルによって破壊される様をリアルに映像化した。
この作品が今から50年も前につくられたというまずその事実に驚き、その執念にも似た“匠の技”に敬意を抱かざるをえない…。

もちろんミニュチュア特撮は、どんなにリアルにそれを描いても結局はミニチュアにしか見えないだろう。しかし今や、映画表現に溢れかえるアニメ、CG、3Dを、「本物」と思って観る観客はいない。すべて“まがいもの”として、それをわかったうえで楽しんでいる。

そうした“まがいもの”を“まがいもの”として楽しめるようになった今だからこそ、その終末的なモチーフとともに再評価されるべき作品だと思う。

出演者も、主人公のタクシー運転手・フランキー堺をはじめ、宝田明、乙羽信子、星由里子、笠智衆、白川由美、東野英治郎、山村聡、上原謙、中村伸郎というオールスターキャストともに、芸術祭参加作品というのにも驚かされる。

目を奪われるのは特撮だけでなく、セリフの中にも「平和を粗末にしちゃいけねえ」「わずか4個の水爆で日本はなくなる」「この平和を守るためにどこまでも努力すべきだ」など時折光るものがあり、人間ドラマとしても手抜き感はない。それだけ時代の空気というか危機感からか、映画会社もスタッフ・出演者も、この作品に賭けるものがあったに違いない…。

海外でも公開され英語版のTrailerも作られている!↓


◆『世界大戦争』の参考レビュー(*タイトル文責は森口)
「もし核戦争が…を描いた入魂の作品」--かたすみの映画小屋
「スペクタクル特撮映像も見事なリアリティある悲劇」--Godzilla and Other Assorted Fantastic Monsters

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