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【本】ソーシャルライフログ 電子小説家の自分さらし
2010-12-02


[LINK] (禺画像]) ソーシャルライフログ 電子小説家の自分さらし
内藤みか

朝日新聞出版 2010-08-06
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日本には「私小説」というジャンルがあるので、作家による「自分さらし」はそれこそまったく目新しいものではないのだが、従来のそれはどこかジメジメした、ときにはおどろおどろしい印象さえある。

そうした「自分さらし」をあっけらかんと、才気走った豪腕によって作品化してしまったのが西原理恵子氏だと思うのだが、本作の内藤みか氏もまた、マンガとエッセイの違いはあれば、じつにあっけらかんと私生活をぶちまけている。

そのぶちまけぶりは、清々しささえ感じさせるものだが、男のそれが鬱々と情けなぶりを露悪するものが多いのに比して、「母さん」連中はじつに明るく力強いですな…と、軽い目眩を覚えているのはワタシだけではないと思う。

4章からなる本書は、まず導入の「電子書籍時代のネット人脈」で、ケータイ小説で1日16万ビューを記録した“ケータイ小説の女王”の電子小説家ライフが紹介される。
昨今の「電子書籍ブーム」以前から、積極的に電子ネットワークを駆使した作家活動を行なっている著者からの挨拶がわりの軽いジャブという感じ。いや、撃つ側はジャブかもしれないが、オヤジ世代にはきつい一発だろう。ブログ、ツイッター、ケータイ書籍のダウンロード販売、140字小説など、クラクラするような電子ライフが綴られる。
例として掲載されたツイッターによる140字小説が、見事に起承転結の「小説」になっていることに、改めてこの作家の如才のなさを知ることができる。

二章「イケメン時代の新ビジネス見学記」では、「イケメン評論家」を自称する著者の「自分さらし」がいよいよ本格化し、三章「10歳以上年下ばかりの恋愛騒動」で、それは全開する。

やがてその高揚感は、四章「シングルマザーの一芸子育て術」で収束に向かう。
娘のために自宅では飼えない犬を借りに行き、私立中で挫折した息子をそっと見守り、ときに支える…。親子二人三脚で臨んだ「数学大会」の件など、まるで“小説”を読むかの如く“感動的”だ。
そこから現れるのは、子を思い、家族を守るために懸命に働き、生きる一人の「母」の姿だ。ワタシたちは不覚にもそこにホロリとさせられ、見事に著者の術中に嵌まってしまったことに気づく。

AERA 連載の記事をこのような構成にまとめたのが、著者自身なのか編集者なのかは不明だが、見事なつくりで「自分さらし」本の範ともなる本書をものにした著者こそ讃えられていいだろう。

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