http://yui-planning.asablo.jp/blog/

【本】ジョニー・B・グッジョブ 音楽を仕事にする人々
2010-12-07


ビジュアル系バンドのマネージャーが、メンバーと直接話ができる打ち上げに高い会費をとってファンを誘い、「ライブの打ち上げはいちばんの稼ぎ頭です」など、抱腹絶倒(失礼)もののエピソードも飛び出す。

「サービス業なんですよ、これは(笑)」と、自身の仕事を自嘲気味に話す私立高校の音楽教師による音楽教育の現場レポートも瞠目で、シラケ気味の生徒たちが授業でトランスや義太夫(!)に触れるなかで、次第に目を輝かせていく様子は、感動的ですらある。

著者も冒頭で記しているように、本書は、よくある職業(業界)案内本でもなければ実用的なカタログでもない。
「もっとも実用的なものというのは個々のリアリティのなかにしか存在しないのではないか」という姿勢でインタビューに臨んだ著者が、「いたって平熱な、『素』の言葉たち」を紡ぎ、「実用書より実用的なであることを目指し」「『仕事とはなにか』を考えるきっかけになればいい」として始めたそれは、見事に“グッジョブ”として結実していると思う。

ターケル的な視点でつけ加えて言えば、本書を通して立ち上がってくるのは、日本の音楽業界・文化を下支えする愛しき“音楽バカ”たちの実像だ。そして極東の地で、欧米から流入したポピュラー音楽が栄えたある時代の貴重な記録だ。
ヒトの芸術・文化は“バカ”によってつくられてきたことを改めて証左し、この愛しき“バカ”たちと著者に、敬愛の念を以て本書をお薦めしたい。

◆『ジョニー・B・グッジョブ 音楽を仕事にする人々』の参考レビュー一覧
ele-king(三田格氏)
Riddim | RING RING RING(荏開津広氏)
星ぶどうぱん
はぐレ企画

↓応援クリックにご協力をお願いします。
[LINK] (禺画像]) [LINK] (禺画像])
[LINK]

戻る
[本]
[音楽]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット