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以前
『ビッグ・イシュー』に紹介された、その異様な迫力に魅せられ、いつか実際にその絵を見てみたい思っていた
池田学氏の個展が開かれている。その
池田学展『焦点』に足を運ぶ(12月18日・ミヅマアートギャラリー)。
中空に巨大な難破船が横たわる港を描いた「蒸発」に始まり、列車を飲み込み箱状となってとぐろを巻く巨大な蛇「とぐろ」、天国の階段を思わせる海の層「海の階段」、液状化した古代生物のような巨大なカタツムリ「梅雨虫」、荒海にぽっかりと空いた四角い穴から見渡す夜の大都会「Gate」(上記掲載画像)、など、20作品が並ぶ。
池田氏の絵の特徴は、とにかくその緻密さにある。紙にペンとインクだけで描いているとは信じられないくらいの情報がぎっりしりと詰まる。
例えば、「命の飛沫」では排水口からタツノオトシゴやらガイコツやら不思議な形状の無数の生き物たちが、吐き出されていく様を描いているのだが、これがまたメチャ細かい。
また、「降り積む」では、これまた小さな無数のしゃれこうべが雪の結晶となって降り積む様を描いている。
これらの気の遠くなるような作業を経て、池田氏が脳内で爆発した奇天烈で幻想的な空間・場面が、ワタシたちの目の前に立ち現れるのだ。
その壮大な世界観は、宮崎アニメや
大友克洋、あるいは
ロジャー・ディーンからの影響もほの見える。
浮遊する巨木の支柱根下に水がたたえられ、人・魚が住み、恐竜の化石らしきものを見られる「地下の種」は、
“ラピュタ”を思わせるし、
“腐海”の地下を思わせる氷柱の森を飛行機がゆく「氷窟」や、地球となった
王蟲(オーム)のような巨大な虫と、それを守るかのように警護する虫たちを描いた「渦虫」に、
“風の谷”を想起するのはワタシだけではないだろう。
ただ今回の個展では、これまでの
「興亡史」(2006年)や
「予兆」(2008年)などの代表作が巨大なキャンパスに描かれていたのに対し、すべて22×27cmという小さな作品だったので、少々拍子抜け。
そうした意味では、今回の個展に併せて刊行された
『池田学画集1』
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