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『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』(2005年・監督:
マーティン・スコセッシ)
『ラスト・ワルツ』『シャイン・ア・ライト』などの名作群によって、音楽ドキュメンタリーを撮らせたら当代ピカ一とされるオスカー監督による、
ボブ・ディランのドキュメンタリー。
3時間半という長尺フィルムに、ディランの軌跡、彼を取り巻いた人びとの様々な証言、そして時代の空気を映し込んだライブ映像をたっぷりと盛り込み、稀代のアーティストであるディランとは一体何者なのか? を解き明かそうとする試み。
恥ずかしながらワタシもまたディランズ・チルドレンの遥か端くれの端くれで、高校時代には(何時のことだ!)文化祭で、“ディラン研究”の展示を行ったこっ恥ずかしい経験が今さらながら思い起こされる。
当時ワタシは東北の小都市に住んでいたのだが、何しろ書店で
『ディラン風を歌う』禺画像] 『ボブ・ディラン全詩集』禺画像] を注文してから手にするまで3〜4週間もかかった時代だ(だから何時の時代だ!)。ようやく手にしたディラン本は、どっしりと重く、見るも読むも新鮮で、たまつすがめつその詩/音楽世界に浸ったものだ…。
というわけで、ディラン・ストーリーははるか昔に“活字”で触れていたものの、こうして本人の語りも含めた、当時をしるす膨大な証言と映像の開示によって、ワタシたちはディランと共に“あの時代”を旅し、彼の成長と変遷を目の当たりにする気分を味わうことができる。
まず浅学なワタシを驚かせるのは、ディランが子ども時代に親しんだ多彩なミュージシャンたちだ。カントリー/ブルーグラスのハンク・ウィリアムズ、ビル・モンロー、ブルースのバディ・ガイといった有名所はもちろんのこと、ワタシも初めて知るシンガーたちが次々に登場する。
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