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【TV】ETV特集「町にボクのロックは流れますか?〜ネット世代のカリスマ“現実”に挑む」
2011-05-10


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放送から数日が経ってしまったが、意外(?)にも優れたドキュメンタリー作品となっていたETV特集「町にボクのロックは流れますか?〜ネット世代のカリスマ“現実”に挑む」を改めて取り上げたい(5月8日NHK教育)。

まず、NHK教育と「神聖かまってちゃん」の“の子”という組み合わせに、軽い驚きを持つのはやはりオジさん世代か? なにしろ“長髪”が大問題となって、グループサウンズがNHKに出演できなかった時代を知っている世代なので…(爆)。

それがNHKもさらにお堅い(かった?)教育チャンネルで、「死ね〜」連発の“の子”の特集だ。それも文字通りの“丸裸”の私生活に始まり、彼の孤独感や創作の苦しさにあえぐ胸の底まで覗き込もうという意欲的な作品として。

冒頭から“の子”がかつて引き込んでいた部屋にズカズカとカメラが入り込み、官能的な(?)入浴シーンが披露される。これがもういきなりの意表をつく展開で、これで一挙に引き込まれる。

ネットを駆使した活動を展開してきたかまってちゃん=“の子”といえど、いきなり私生活を撮らせてしまうというのは、撮ったNHKもエラいが、撮らせた本人も事務所も、じつに勇気があると思う。
その姿勢は本作を通じて一貫しており、カメラに向かって悪態をつき、スタッフに怒りをぶちまけ、あげくの果てに1カ月もの“失踪”をする“の子”の姿を包み隠さず、そのままライブ感溢れる映像として流す。

いわばかまってちゃん=“の子”がやっていたストリーミング=ライブ・コミュニケーションをそのまま模したかのような手法で、番組(ライブ)が展開する。
近年、ネットを利用した視聴者との双方向コミュニケーションに接近するNHKらしく、ディレクターもそのライブに参加するかのように、初々しいままにストリーミングに参加し、“の子”ファンに素朴に質問を投げかける。

民放のドキュメンタリーにありがちな、その胸中を無理やりこじ開けるような演出も、番組的な盛り上げや感動はここにはない。ただ、この“の子”という異才と、彼をとり巻く事象や人間関係を辿るだけで、十分に物語的で「作品」として成立している。
“の子”という特異な素材と、NHKらしからぬ無手勝な手法が、ネット時代のヒリヒリとした空気感をとらえた、見事な作品として立ち上がった…と言うべきか。

それにしても間近で観る“の子”は、アケミ(じゃがたら)の危うさと、どんと(ボ・ガンポス)の繊細さを併せ持った、天性の「狂気」を感じさせる。いや、それを例えるならハイパー太宰治か(苦笑)。
それゆえに、いつ解散してもおかしくないと思っていた「神聖かまってちゃん」のメンバーが“の子”の数少ない友人として、“失踪”さえも何事もなかったように温かく見守る姿には、なにかこう心癒される…。

「ゴール」も「結論」なくエンディングに向かった本作と同様に、痛いのに高揚感溢れるというその独特のかまってちゃんサウンドを、これからもずっと鳴り響かせていって欲しいと思う。(乞、再放送)

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